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オックスチェアは、彼の作品の中でもひときわ目を引くデザインだと言える。ピカソの抽象画への魅了から着想を得たとされ、「デザインは必ずしも“ひどく真面目”である必要はない」という彼の考えを体現している。ウェグナー自身、自宅をこの椅子でしつらえるほどの愛用ぶりだった。

1960年に初めて発表されたオックスチェアで、ハンス・J・ウェグナーは当時の支配的な美意識に挑戦した。雄牛の角を思わせる象徴的なフォルム、ゆったりとしたプロポーション、繊細なフレームにより、当時の控えめなスカンジナビア家具とは対照的な、大胆で自信に満ちたデザインとなっている。製造はA.P.ストーレンが担当し、すべて受注生産でウール張りが施された。生産期間はわずか2年間だった。

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それからほぼ30年後の1989年、ウェグナーはより実用的な製造方法を求め、張り加工の名手エリック・ヨルゲンセンに協力を依頼した。ヨルゲンセンはイタリアのタイヤメーカー、ピレリを訪れた際に得た着想を基に、発泡ゴムを使用して快適性を高める革新的なソリューションを提示。オックスチェアはミラノ家具見本市で再発表され、以降かつてない成功を収めている。これは「椅子は実際に誰かが座って初めて完成する」というウェグナーの信念を証明している。

オックスチェアの張り込み作業は非常に手間がかかり、精密さと一定の体力が求められる。実際、一脚を手作業で仕上げるのに約1日半を要する。

デザイナーを知る

ハンス・J・ウェグナー(1914–2007)は同時代でも屈指の多作なデンマーク人デザイナーで、およそ500脚の椅子を手がけ、その多くが今日もなお製造される名作となっている。木材への深い探求心と、機能性に詩的で遊び心あふれる要素を織り込む手腕で、モダン・デンマークデザインの「黄金期」を代表する存在だ。ウェグナーにとって椅子は、単なる家具ではなく、人間の身体を支える芸術作品であった。

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ハンス・J・ウェグナーについてさらに知る

ご存知でしたか?

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このチェアの張り込みは非常に複雑で、張り職人には精密さと筋力の両方が求められるため、新人を一人前に育てるには1年半を要します。実際、オックスチェア1脚を手作業で仕上げるのに丸一日かかります。

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